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業種別の産業医活用事例

これまで約50社の会社様の労働衛生管理に関わらせていただいております。
製造業(鉄鋼、プレス、食品、建材、自動車部品)、小売業(スーパー、モール)、卸売業(鉄鋼、文具)、運送・倉庫業、宿泊業、建設業、外食産業などの経験があります。

  1. 全業種共通の課題と対応事例
  2. 製造業での改善事例
  3. 小売業での改善事例
  4. 運送業・倉庫業での改善事例
  5. オフィス業務での改善事例
  6. 建設業
  7. 医療業・介護業

全業種共通の課題と対応事例

課題① メンタルヘルス不調を抱えた労働者への対応

強いストレスを抱えながら働いている労働者の数は非常に多く、全労働者の半分を超えています(2020年度 54%)。それゆえ、精神的に不調を抱えている労働者の数は非常に多いです。
症状や状況はそれぞれの労働者により異なるため、個別の対応が必要になります。
その意味でメンタルヘルス不調への対応は、産業医の経験、技量が最も大きく影響する分野だと考えています。

職場産業医の立場として、本人と職場のお話を聞き、必要に応じて精神科医と連携して、本人への対応策や職場で必要な合理的配慮を提案いたします。労働者の皆様がより精神的に健康な状態で働いてもらえるよう、お力添えいたします。
秘密厳守ですので、労働者の方から上司に相談しにくいお話などもお伺いすることができます。
休職に至る前に症状の軽減につながった例も複数あります。
お悩みのことがありましたら、経験豊富な弊社に一度ご相談ください。相談先はこちら

例)なんとなく気分がすぐれない労働者

ある工場で、上司の方より、部下の労働者の方がなんとなく精神的に調子が悪そうなので、話を聞いてほしいと依頼を受けました。
状況を確認すると、1か月前より週1回-2回の欠勤が目立つようになったということでした。
本人とお話して状況を聞くと、仕事の進め方で別の労働者と軽い口論になり、その後の気まずさに悩んで具合が悪くなっているとのことでした。個人的な人間関係の話であり、上司に言うことがためらわれていたとのことで、抱えこまれた結果、抑うつ気分や不眠などの症状も出ていました。
面談後、メンタルクリニックを受診いただき、抗うつ薬と睡眠薬を処方頂くとともに、本人の同意を得て人間関係の悩みについて上司とお話する機会を設けました。
その結果、残業時間の制限(20時間/月)程度と、従事するラインの変更により口論になってしまった労働者との距離を物理的に離す措置を取りました。その後も定期的に面談していく中で、不眠や抑うつの状態は改善し、6か月後には元の業務量に戻すことができました。

課題② 休職した労働者の復職支援

心身の不調のために、休職された労働者の方に、再び元気に働いてもらえるようお力添えいたします。

一般的に休職中は主治医による治療がメインとなります。治療により、体調がある程度回復した段階で、産業医が本人と面談を行います。さらに職場からもよくお話を伺った上で、人事担当者や主治医と連携しながら、復職先の環境調整や就業上の配慮の検討を行い、産業医として復職判定を行います。復職の最終決定は会社様の方で総合的にご判断いただくことになります。復職後も、必要に応じて定期的な面談を行って、状況を確認します。休職を繰り返す場合、リワークプログラムの利用をおすすめすることもあります。

例)うつ病の労働者の復職支援

運送業の倉庫で、年度末の繁忙期が終わった際に気分がすぐれなくなり、休職に入った労働者の方の復職支援を行いました。
この方は休職してから約半年間心療内科で治療を受けていました。
産業医面談で、気分の落ち込みや睡眠障害が改善しており、生活リズムがしっかり整っていること、主治医から復職可能の診断書をもらっていることを確認しました。
休職前に3か月連続で時間外労働が45h/月を超えており、業務負荷による疲労の蓄積や生活リズムの乱れが精神的不調として表れてきたものだと考えられました。
そこで職場の上司や人事担当者とも連携して、業務量の管理、低減に努めて頂くことをお願いし、復職を許可しました。復職後2か月は残業なし、その後徐々に残業制限を緩和して、半年後をめどに残業制限を外すことを提案し、定期的に面談を行いました。その後は元気に勤務されています。

課題③ 疾患治療との両立支援

労働者の高齢化や医学の進歩によって、癌などの病気を抱えながら働く労働者が増えています。
治療による体力の消耗の程度や、手術を受けた後の体力の回復など、労働者によって経過は様々ですので、個々人に応じた就業配慮が必要になります。
産業医が面談により本人の状態を把握し、医学的見地から意見を述べることで、無理せず元気に働いてもらうことができます。

例)直腸癌の労働者の方の両立支援

小売店で、直腸癌の術後の方の両立支援を行いました。
この方は、腸の手術により頻回の便意をもたらすようになっていました。もともとの仕事が売場でお客様対応をする方であったので、突然の便意に対応できるかどうか不安があるとのことでした。職場とも相談し、バックヤードで比較的トイレに近い配置で働いていただけるように調整し、必要に応じて座ることができるように配慮しました。

課題④ 発達特性のある労働者への支援

ADHDやアスペルガー症候群など、発達特性のある労働者は増えており、支援が求められています。
発達特性により、コミュニケーションがうまくとれない、作業を頻回に間違えるなど、様々な問題が生じます。
症状を消失させるというよりは、うまく付き合っていく方法を一緒に考えます。根気強い対応が必要です。

製造業での改善事例

製造業は、ものづくり大国日本の根幹をなす産業の一つです。
従業員の健康を守りつつ、高品質な製品を安全に生産するお手伝いをいたします。

課題① 労災の発生防止

製造業は従事する労働者の数も多く、業種別の労災発生件数としては最多です。
はさまれ、巻き込まれなどの重大事故も多発します。

*ヒヤリハット、軽微な事故の共有

ハインリッヒの法則では、1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故、300件のヒヤリハットがあるとされています。これを逆に言えば、日頃からヒヤリハットや軽微な事故に着目し対応すれば、重大事故をかなりの割合で防ぐことができると言えます。
弊社は、他事業所での類似事例や良好事例などを参考に、改善策についてご一緒に検討いたします。
費用対効果、労力対効果なども検討し、優先順位をつけてご提案いたします。

例) 金属プレス工場で、機械が異常停止し、点検していたところ、他の作業員がその機械を稼働させてしまう事案が生じました。
異常が発生した場合には必ず一人では対応しないこと、点検中の札をつけること、そして事情が分かっている作業員が必ずコントローラーの近くにいることを徹底するようにしました。

*労災の対応と再発防止

不幸にして労災が発生した場合には、当該従業員へのケアと再発防止が重要です。
必要に応じて事故の重大さや発生頻度を評価して(リスクアセスメント)、優先順位をつけるお手伝いをいたします。

例)

サイディングボードを電動丸鋸で切る際に、丸鋸本体から出ているコードを避けようとして刃が手にあたり、切創を負った労災が発生しました。手袋をしていたこともあり、幸いにして大事には至りませんでした。コードレスの充電式丸鋸を導入することを提案し、対応していただきました。

課題② 有害作業による健康障害の発生防止

製造業では、多種多様の材料や機械を使用します。
それゆえ、有害な化学物質の使用に加え、騒音、粉塵、高温、寒冷、放射線、振動工具、重量物の取り扱いなど、労働者に健康障害を起こす業務は多岐にわたります。
産業医・労働衛生コンサルタントとして、法律の遵守と、これらの有害要因による健康障害の発生の防止について助言いたします。

例)化学物質管理

化学物質の管理は毎年のように規制が変更されています。最近では、溶接ヒュームの特定化学物質が指定されたことに伴い、継続してアーク溶接を行う事業場では、個人暴露測定や呼吸用保護具の着用、フィットテストなどを行わなければならなくなりました。最新の情報に基づく化学物質管理について、助言、指導いたします。

例) 騒音による健康影響の軽減

大型のプレス機の周囲で、従業員が作業する場所の等価騒音レベルが第Ⅲ管理区分でした。
機械に覆いをつけるなどの工夫をしてもなかなか管理区分が改善せず、費用の面でもこれ以上の対策は難しいと相談を受けました。
まず、作業上の巡視と共に、騒音の作業環境測定結果を確認して、騒音障害が危惧される場所を特定しました。また騒音の特殊健康診断の結果を確認し、騒音性難聴の発生はないことを確認しました。
さらに作業員の方に健康障害が発生しないようにするため、常駐している場所を変え、騒音の大きさに応じて騒音発生源の近くにいる時間を制限していただきました。健康講話で作業員の方に騒音による健康障害について説明し、耳栓の着用を徹底いただきました。

例) 作業姿勢の改善による腰痛発生の予防

検品作業を行う際に、作業台の下に足が入らず、前屈みの不自然な姿勢で作業しており、腰痛の発生が危惧されました。台の下に足が入るように、新しい台を購入していただきました。椅子も高さが可変のものにしていただきました。

小売業での改善事例

スーパーやデパートなど、一見安全そうに見える小売店舗でも、労災は意外に多く発生します。
バックルームや調理場における外傷や腰痛の労災が多いです。
弊社は大企業を含む小売業での健康管理に協力しており、皆様が怪我をせず健康に働いていただけるようにご協力させていただきます。

例)包丁による切創

スーパーの調理場で、包丁を洗う際に、汚れを拭き取ろうとして切創を負う事故が多発しました。
汚れを拭き取る際に、台の上においたクロスに擦り付けるような形で拭き取ること、耐切創手袋の着用などを指導し、労災の件数を減らすことができました。

例)段ボールを開梱する際に切創

アパレル系の小売店で、段ボールを開梱する際にカッターの刃や段ボールの縁で手を切る労災が多発していました。安全に開梱できるカッターを紹介し、切創は大幅に減少しました。

例)什器を移動させる際に災害性腰痛

一般に、男性は体重の40%、女性は体重の24%を超えた重量のものを持つと、腰痛が発生するリスクが高まると言われています。それでも、声をかけづらいなどの理由で無理をして重量物を運んでしまい、腰痛を発症する例が後を絶ちません。そこで、労働者を対象に腰痛に関する意識を持ってもらおうと考え、健康講話を行いました。

運送業・倉庫業での改善事例

運送業、倉庫業も労災の発生が多い業種の一つです。
特に、重量物の取り扱いによる腰痛の発生が多いです。夏場は熱中症の発生も危惧されますし、フォークリフトや業務用車両の運転による事故も問題となります。
最近では、業務用車両の運転前のアルコールチェッカーの導入も話題となっています。
最新情報も含めて丁寧な助言をいたします。

例) 腰痛の予防

物流センターで、仕分け作業をする際に腰痛が多発していました。
確認すると、作業スペースが不十分であり、腰をひねるようにして物資を仕分けしていることがわかりました。
片付けによる作業スペースの確保、標準的な作業姿勢の徹底や、重量物の取り扱いの際には、事前に通知して応援できるような体制を整えました。

例) 熱中症の管理

最近、酷暑が続いているため、熱中症の予防と初期対応について相談を受けました。WBGT計による暑熱ストレスの評価、服装の工夫、水分・塩分補給、休憩室の体制などについて助言するとともに、熱中症への初期対応のマニュアルの整備をお手伝いしました。

例)フォークリフトの接触事故

倉庫で、後退するフォークリフトと徒歩の作業員が接触しそうになる事案が生じました。
歩行者の歩くべき範囲と、フォークリフトが動くべき範囲を、床の色分けによってわかりやすくしました。

オフィス業務での改善事例

一見健康障害が発生しにくそうに見えるオフィス業務でも、腰痛や首こり、肩こりなどが問題になります。
一か所にいる人数が多いので、急病人が発生した際の対応なども問題になります。

例)情報機器作業に伴う腰痛や首こり、肩こり

パソコンやスマートフォンを長時間使う作業は、腰痛や首こり、肩こりの原因になります。デスクトップ型パソコンを使う、ノングレアのディスプレイを使う、部屋や画面の明るさを調整する、机やいすの高さを調整するなど、様々な工夫により、腰痛や肩こり、首こりを防ぐことができます。

例)急病時の相談体制の確保

AEDが常備されている事業所が増えています。
しかし、実際に、人が目の前で具合が悪くなった時は焦ってしまうのではないでしょうか。
そこで、職場の担当者と協力して、一見してよくわかる対応フローチャートを作成しました。
実際に、訪問中のお客様の気分が悪くなった時に、活用していただきました。

建設業

建設業の作業場では、転落、重量物の落下など、重大な労災が発生することが多いです。
粉塵や騒音などのリスクもあります。
また、多数の事業者が集まって作業するので、指揮系統が一つではないことも多く、綿密なコミュニケーションをとる必要があります。
産業医は、第三者的な目線から、一歩進んだ安全配慮を提案することができます。

例) 現場の巡視による改善

足場の上に上る際に、安全帯の着用を徹底するように指導しました。
また、コンクリートを削るはつり作業では、保護メガネの着用や集塵機の位置などの指導をしました。
労働災害が発生した場合の連絡体制や初期対応について確認しました。

医療業・介護業

医療業・介護業は、とても負担の大きな職種の一つです。
夜勤によるストレスや、介助のために利用者を持ち上げる作業など、身体的負担もあります。
特に、腰痛は70%以上の介護職にみられるというデータもあり、大きな問題です。

例)腰痛の改善

欧米では、ノーリフトの原則といって、スライディングボードやリフトを利用して人力で人を持ち上げないようにするケアが進んでいます。
日本では、まだまだ導入が進んでいるとは言えませんが、今後導入が進んでいくものと思われます。
施設の設備の状況なども鑑みて、助言させて頂きます。

例)ハラスメント対策

医療・介護の労働者は、利用者の方から、性的な発言や暴力的な発言を受けることがあります。
逆に、医療・介護の労働者が利用者の方に対して暴力的な発言をしてしまうこともあります。
そこで、産業医からハラスメント対応への理解を深める講話を行って、また施設長から接遇についても併せてお話いただくことで、職場環境の改善にご協力しました。

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