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喫煙は耳にも影響する?難聴とたばこの意外な関係

[2025.06.18]

こんにちは!愛知県名古屋市の産業医、株式会社中部労働衛生コンサルタント事務所の馬渕青陽です。

先日、耳鼻科の先生とお話ししている時に、「喫煙と難聴は関係が深い」という話を聞きました。

「たばこは肺に悪い」「心臓疾患のリスクが上がる」といった影響は、よく知られていますが、
実は聴覚機能にも影響を与える可能性があることは、意外じゃありませんか?

本記事では、喫煙と難聴の関連について、医学的な観点から解説します

                                                                                   

喫煙者は難聴リスクが1.6倍になる

5万人の健康な日本人の聴力を追跡調査した医学研究によると、以下のような結果が報告されています。

①喫煙者は非喫煙者に比べて高音域の聴力低下リスクが1.6倍高い[1]

②喫煙本数が多いほどリスクが上昇する(用量反応性)。

③禁煙をするとリスクは低下し、禁煙5年後には非喫煙者とほぼ同等になる。

このように、喫煙は難聴を引き起こす因子の一つと考えられています。
そして、禁煙することで、これから難聴になるリスクを下げることができるというのも驚きですね。

受動喫煙も周囲の人の難聴の原因になる

実は、たばこは、喫煙者だけでなく、周囲の人の難聴の原因にもなることが知られています。

イギリスの16万人以上の成人を対象にした研究[2]では、
受動喫煙している人では、難聴のリスクが28%高くなるという結果が出ています。

また、日本の大規模調査[4]では、
妊娠中の母親の喫煙および出生後の受動喫煙により、3歳時点での聴覚障害有病率が2倍以上に上昇する
ことが報告されています。

このように、知らず知らずのうちに自分にとって大切な周りの人の聴力も奪ってしまうのがたばこなのです。

喫煙が難聴を引き起こすメカニズム

それではなぜ、たばこは難聴を引き起こすのでしょうか。
はっきりとしたことはわかっていませんが、いくつかのメカニズムが挙げられています。

血流障害
 喫煙によって血管が傷つき、耳の中の蝸牛(音を感じる細胞がある部分)が酸素不足になってしまう。

有害物質の直接的な影響
 タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素などが、蝸牛の細胞や神経にダメージを与えてしまう。

脳への影響
 ニコチンが音を正しく解釈する脳の機能にも悪影響を及ぼす。

おわりに

このように、たばこは自分自身のみならず、周りの人の聴力も奪ってしまうことが知られています。
禁煙することで、難聴が悪化するリスクを下げることができます。
自分自身も、周囲の大切な人たちの健康を守るためにも、禁煙に取り組んでみてはどうでしょうか。

参考文献

1.Hu, Huanhuan et al. “Smoking, Smoking Cessation, and the Risk of Hearing Loss: Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study.” Nicotine & tobacco research : official journal of the Society for Research on Nicotine and Tobacco vol. 21,4 (2019): 481-488. doi:10.1093/ntr/nty026

2.Dawes, Piers et al. “Cigarette smoking, passive smoking, alcohol consumption, and hearing loss.” Journal of the Association for Research in Otolaryngology : JARO vol. 15,4 (2014): 663-74. doi:10.1007/s10162-014-0461-0

3.Fabry, David A et al. “Secondhand smoke exposure and the risk of hearing loss.” Tobacco control vol. 20,1 (2011): 82-5. doi:10.1136/tc.2010.035832

4..Wilunda, Calistus et al. “Exposure to tobacco smoke prenatally and during infancy and risk of hearing impairment among children in Japan: A retrospective cohort study.” Paediatric and perinatal epidemiology vol. 32,5 (2018): 430-438. doi:10.1111/ppe.12477

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