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意外に知らない、うがい薬の種類

[2024.12.25]

こんにちは。愛知県名古屋市の産業医の馬渕青陽と申します。
今回は意外に知らない「うがい薬の種類」についてお話しします。

みなさんは、普段うがいをされていますか?そして何でうがいをされていますか?
私は基本的に水道水でうがいをしているのですが、うがい薬を使っている人もいるのではないでしょうか。

これは、私が医師になる前に臨床実習をしている際に、在宅診療の先生のもとで勉強させて頂いている時に教えて頂いたことなのですが、実は市販のうがい薬には大きく2種類あって、それぞれ効果が違います。

大きく分けると
①ポピドンヨード
②アズレン
です。

①ポピドンヨード
(https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/pressrelease/2016/detail/160616_01.htmlより)

②アズレン
(https://www.asadaame.co.jp/medicine/azulene_g.htmlより)

このうち、①ポピドンヨードはイソジン®️としてよく知られていますが、②アズレンを知っている方はそこまで多くないのではないでしょうか。
今回はそれぞれのメリットデメリットをお伝えしつつ、どんなタイミングで使うのが良いのか私なりの経験も踏まえて見解をお伝えしようと思います。

①ポピドンヨード

ポピドンヨードは、みなさんがうがい薬と聞いてイメージする茶色の液体です。ポピドンヨードは手術の際に皮膚の消毒にも使うほど殺菌力が強いことで知られています。その殺菌効果を期待してうがい薬としてしようされているのですが、実は、ポピドンヨードでのうがいには風邪に対しての感染予防効果がないとする有名な研究結果があります(Satomura K, Kitamura T, Kawamura T, et al. Prevention of upper respiratory tract infections by gargling: a randomized trial. Am J Prev Med. 2005;29(4):302-307. doi:10.1016/j.amepre.2005.06.013)。
ポピドンヨードを使うことで、口の中にいる良い細菌たちも殺してしまうことが却って風邪の感染を起こしてしまう結果になっている可能性や、ポピドンヨード自体が粘膜にダメージを与えてしまうことによって感染が起こりやすくなってしまう可能性が示唆されています。ちなみに、この研究では、水道水でのうがいは風邪の罹患率を約35%下げるという結果になっています

また連続して使用することでヨード過剰症になり甲状腺の機能が低下してしまったり、一部の方にアレルギー症状を起こしたりするリスクもあるため、ポピドンヨードはなかなかに使い所がむずかしい薬です。
私としては細菌感染が危惧されるような患者さんに処方する以外のタイミングで処方したことがありませんし、自分に対しても基本的には使用しません。

②アズレン

アズレンは、あまりご存じない方が多いと思いますが、私はとても有用だと考えています。青色の清涼感ある液体で、薄めて使います。もともとカモミールの精油に含まれる成分として知られており、抗炎症作用、抗アレルギー作用があります。殺菌作用はありません。そのため、喉が痛い時に喉の痛みを和らげて鼻の通りをよくする効果があります。アズレンうがいによる感染予防の効果は私が調べた限り、データがないようです。
実際に私が使用した感覚としては、風邪の引き始めの喉の痛みにはある程度効果があるように感じています。
また口内炎による痛みを和らげる効果もあります。

終わりに

今回は意外としらないうがい薬の種類と効果についてお伝えしました。感染予防という観点では水道水によるうがいが良いものと思われますが、風邪などの喉の痛みに対してはアズレンによるうがいが有用だと感じています。うがいで風邪を予防して、明日からも元気にお仕事できるよう応援しております。

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