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やめたい生活習慣をやめる方法 その1

[2024.10.08]

こんにちは!愛知県名古屋市の産業医、馬渕青陽です。
先日ある会社さんで喫煙者に対する禁煙セミナーを聞いていたのですが、
喫煙は害があり、禁煙は健康によい、だから禁煙しようという内容でした。

私は喫煙者ではありませんが、これだけ受動喫煙への理解が進み、
喫煙の害や禁煙の効果が一般的に知られているので、
セミナー参加者の方々は十分知っている内容なのではないかと思い、
その話をしても意味がないのではないかと感じました。

セミナー参加者の方々の背景を察するに、
やめたいと思っているけどどうしてもやめられない、
だから何とかやめる方法はないだろうかということで参加されているのだと私は思います。

この喫煙に限らず、産業医として生活指導をしていると、
飲酒や喫煙や食生活など、やめたい!変えたい!と思っているにも関わらず
やめられないし変えられないという人がとても多いと感じます。

かくいう私もその一人です。

私は喫煙者ではありませんが、ポテトチップスやケーキやハンバーガーが好きだったりして
体重が20歳の時より12kgも太ってしまいました。
健康のことを思うとやめたいという気持ちがあるもなかなか踏み切れない状況でした。

しかし最近、自力でポテトチップスやケーキやハンバーガーは食べなくても良くなり、
また最近あるトレーナーの方の生活指導を受けまして6kgほど減量することに成功しました。

この自分の経験や、私が関与した中で今まで生活習慣を変えることができた労働者の方の経験をもとに
やめたいものをやめる効果的な方法について書いてみようと思います。

一言でいうと、「やめられない自分の奥の思いを満たす」と「コーチの力を借りる」です。
今回は「やめられない自分の奥の思いを満たす」について書いてみようと思います。

やめられない自分の奥の思いを満たす」ためのプロセスを大まかにまとめると以下の通りです。

①やめられない自分の現在地を受け入れる

私は、まずはフラットな気持ちで自分の生活習慣を受け入れることが第一だと思っています。

「悪い」生活習慣を続けている自分は悪いとしてしまっていると、自分を責めてしまい、
自分の奥底にある思いをフラットに認めることができず拒否してしまうこともあると思いますし、
逆に自分は「悪くない」と正当化して過剰な防衛反応が出てきてしまうこともあると思います。
また直面するのが嫌になって逃げてしまう場合もあるかと思います。

私の場合でいうと、食べちゃいけないと思いながらついついポテチやケーキやハンバーガーを食べていました。
そうすると、せっかく食べたいと思っているポテチやケーキやハンバーガーを楽しむこともできず苦しいし、
食べて体重計に乗って落ち込んでいたり、自分は仕事が忙しいのだから仕方ないと正当化したり、
体重計に乗るのが嫌になって逃げて半年以上乗らなかったりと体質や生活習慣は悪化の一途をたどりました。

その根底には自分がケーキやポテチやハンバーガーを食べたいと思っているということをどこかで認識しながらも、
それは悪い生活習慣だから自分がいけないんだと思っており、
食べたいという思いを見ないようにしていました。

でも、生活習慣に対して悪いと言っているだけでは生活習慣を変えることはできなかったのだから、
一旦良い悪いとするのをやめて、まず自分がその生活習慣をしていることを受け入れようと思いました。

自分はポテチやケーキやハンバーガーをどのぐらいの頻度で食べていて、
どのような影響が出ているのかと、認識してみようと思いました。
すると週1~2はケーキやポテチやハンバーガーを食べていて、1回食べると体重が1kgほど増えることがわかりました。

②やめられない自分の奥の思いに気づく

やめたくてもやめられない方の多くは、やめたいと頭では思いながらも、心の奥底ではやりたいと思っているのだと思います。
フラットな気持ちで自分の生活習慣をみつめられるようになると、自分の悪い生活習慣であったとしてもやりたいと
思っている気持ちに気づくことができるのではないかと思います。

とはいえ健康に悪かったり、周囲の人に迷惑がかかったりするからやめたいという気持ちもあるのではないでしょうか。

③やめられない自分の奥の思いを満たす

実は①②までで自然とやめられたり減らしたりすることができる方もかなりいらっしゃいます。
例えば、飲酒に関しては、飲酒したいという自分の気持ちを受け入れつつ、
健康のためにやめたいという思いも受け入れて日々どれだけ飲酒しているか、表を作って「見える化」したことで
飲酒量のメリハリをつけることができるようになり、肝機能が劇的に改善した方もいました。
これは自分の飲酒したいという思いも、自分の飲酒量を減らしたいという思いも折り合いをつけて
満たしてあげているからといえます。

また他の習慣に切り替えることができる方もいました。
飲酒したいという気持ちのさらに奥を見た時に、
旦那さんが帰りが遅いことに対する寂しさがあったという方もいました。
この方の場合は旦那さんにその気持ちを伝えることで、
旦那さんと話す時間が取れるようになり自然と飲酒量が減っていきました。

でも私の例で行くと、ケーキやハンバーガーは体重をモニタリングすることでやめられたのですが、
ポテトチップスはもっと強力な方法でやめました。
これは場合によってはすでに糖尿病などの病気に至っている方には健康上のリスクがありますし、
人生の彩りが失われる可能性もあります。推奨はしませんし、私は責任を取ることはできませんので、
あくまで参考程度にしていただけたらと思います。

それはとにかくポテトチップスを食べ切るという方法です。
自分の食べたいという欲望のままに気持ち悪くなるまでポテトチップスを食べ切ったのです。

そうしたところ最初はとても嬉しかったのですが、途中から気持ち悪くなりすぎて、
もう当面はポテトチップスはいらないという気持ちになりましたし、
見るだけで思い出すのでしばらく食べられなくなりました。
今は必要な時には食べられるようになりましたが前ほどの食べたい感はなくなりました。

私の親族では同じ方法でソース系のものとプリンとうなぎが食べられなくなった人がいます。
また私の師匠は似たような方法で禁煙したと伺っています。

一旦自分のやりたいという欲求に応えてやり切ってみると意外にすんなりやめられるものだと思いました。
直接的にこれをやるのは危険を伴いますが、やりたいという欲求を認めて満たしてあげることで、
やめたいものがやめられるようになる一例かと思っています。

普段の生活習慣指導でここまで深く話すことはあまりないのですが、
今までやめたいと思ってずっと取り組んできたことがやめられない方に向けては
参考になる話になるかもしれませんので、お役に立てば幸いです。

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