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「音」が快適なオフィスの鍵になる

[2025.05.26]

こんにちは。愛知県名古屋市の産業医の馬渕青陽です。
日々、企業の健康支援に携わる中で、
メンタル不調や集中力の低下に関する相談が年々増えているのを感じます。

その一環としてオフィス環境に助言することも多いのですが、
特に効果が大きいのが**「オフィスの“音環境”」**です。

そこで、今回はオフィスの音環境をテーマに記事を書いてみようと思います。

オフィスはただ静かにすればいいのか?

「騒がしいより静かな方がいいでしょ?」と思われる方も多いと思います。
しかし実際には、**静かすぎる環境ではそれだけで逆に気が散る**と仰る方が多いです。

特に現代のオフィスでは、騒音対策が進

んでいるため、

・Web会議の音
・隣の人の電話やタイピング
・急に聞こえてくる笑い声やため息

こうした“ちょっとした音”が、静かすぎる環境では
脳に「気になるノイズ」として処理され、
集中力の低下・ストレスの蓄積につながることもあるのです。
特に、職場に得意でない人がいる場合など、
人の声が聞こえると気になってしまう方は多いです。

また、自分が音を出してしまうのではないかと、
咳や会話について、過度に気にしてしまう方の話もよく聞きます。

そこで注目されているのが「サウンドマスキング」

サウンドマスキングとは、
人の声などの気になる音を「かき消す」ために、
あえて自然なノイズ(例えば風の音やさざ波のような音)を流して
音の存在をぼかす技術です。

音のプライバシーを守る(会話の内容が周囲に漏れにくくなる)
集中力が保ちやすい(気になる音に意識が向きづらくなる)
コミュニケーションの活性化(気兼ねなく同僚と会話しやすくなる)
メンタル負荷が減る(常に「気を張っている」状態から解放される)
といったメリットが注目されています。

実際にある研究で、会話雑音下ではタイピングや暗算課題の正解数が低下しましたが、
サウンドマスキング音を加えることでその低下が抑制され、
主観的な快適感も向上したという結果が報告されています[1]。

[1]小崎智照、酒見優香 「会話雑音付加時の精神作業成績に与える
サウンドマスキングの影響」人間と生活環境 (J. Human and Living Environment),27(1), 9/15, 2020

静かな席も用意しよう

静かすぎても集中しづらいというのはありますが、
集中したい時には静かな環境で作業したいという方もいると思います。
そういった場合、吸音性のあるパーテーションで囲うことで
オフィスの中でも静かなスペースを作ることもできます。

健康経営の一環として“音”にも目を向けてみませんか?

産業医として現場を見ていると、
「環境のちょっとした差が、メンタルや生産性に大きく影響しているな」と実感することが多くあります。

サウンドマスキングは、比較的導入しやすく、**費用対効果も高い“音環境への投資”**です。
快適な職場づくりの一歩として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • オフィスの「静かすぎる環境」が逆に集中を妨げていることがある

  • サウンドマスキングは音のストレスをやわらげ、集中力と快適さをサポート

  • 健康経営の観点からも“音環境の見直し”は価値ある取り組み

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