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過剰適応による労働者の適応障害

[2024.07.23]

こんにちは。愛知県名古屋市の産業医の馬渕青陽です。

私は、産業医として、メンタルヘルス不調への対応を得意としているのですが、
最近「過剰適応」が行き過ぎて具合が悪くなる労働者の方の対応が多いです。

「過剰適応」というのは、周囲の状況や周りの人に過度に合わせすぎてしまい、自分の意見を押し留めている状態を言います。

そうなると、自分はやりたいと思っていないことも無理してやらないといけないので、いつか限界がやってきます。
自分の心を無視し続けた結果、自分がどうしたいのかが分からなくなってしまうのです。
こうして、ちゃんと仕事ができて、気配りもできていたような方がある日突然休職する原因となります。
こういった方は本当に限界を大幅に超えてしまっていますので、回復まで長引く傾向があります。
病名は「適応障害」や「うつ病」と診断されることが多いです。

私としては過剰適応がみられる方に対してはリワークプログラムでの振り返りや再発予防が有効だと考えており、
相手の意見も尊重しつつ、自分の意見を伝えるアサーティブなコミュニケーションを指導することが多いです。
仕事に対して過剰適応されている場合は、仕事と距離をとって頂き、
ゆっくり時間をとって、自分がどうしたいのか、心に問いかけて頂きます。
会社側にも必要な配慮があればお伝えします。
基本的には過剰適応が原因の休職例は復職がうまく行くことが多いように感じています。

ただ、家族に対して「過剰適応」が発生して具合が悪くなっている例は、回復が極端に遅いことを感じています。
例えば、同居の配偶者やこども、父母などに過剰適応している場合です。
仕事のことであれば産業医が直接アプローチできますし、調整可能なのですが、家族にはアプローチが困難です。
家族は休職していようと中々離れることができません。
逆に精神的に具合が悪い状態で家族から離れる決断もお勧めできません。

となると休職により逆に家族と接する時間が増えてしまいます。
そうすると家族がどう思うのかが優先されてしまい、心は休まらず、
自分がどうしたいのか感じていただくことは難しくなってしまいます。
休職していることすら家族に伝えられない例もあります。
こうして休職満了を迎えてしまう例を複数経験しています。

産業医としてはご家族に介入することは中々難しく、対応に苦慮しているのですが、
本人と家族と一緒に心療内科やカウンセリングの受診をお勧めする
といった対応でうまくいった例もありますし、
ご本人が一念発起されて別居されたり、家族にありのままを伝えられたりしたことで復職に至った例も存在します。

ケースバイケースだと思いますのでもし対応に困られている例がございましたらご相談ください。

 

 

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